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子どものけんかと心の発達

幼稚園や保育園、小学校など集団の中で生活をしていると、子ども同士、時にはけんかをすることもあります。特に、幼児期の子どもは相手に立って物事を考えることが難しいため、お互いの考えや要求がぶつかった際に譲り合うことができず、けんかになることが多々あります。また、幼児期の段階ではことばで気持ちをうまく表現できないため、叩いたり、噛みついたりなどの身体的な攻撃行動がよくみられます。しかしながら、子供の発達とともに、けんかの原因や方法は変わっていきます。幼児期以降は、遊びのルールを守らなかったことや、嘘をつかれたり馬鹿にされたりしたことなどがけんかの原因になることがよくあります。また、この段階になると口喧嘩などの心理的攻撃がよくみられるようになります。

友達と仲良くすることはとても大切なことですが、心の発達において、けんかを経験することは非常に大切なことだとも言えます。子どもは、けんかを通じて自分の意見を訴えるばかりでなく、友達は自分と違う意見を持っているということに気づくことができます。そうして友達の気持ちを考えて、自分の感情をコントロールすることを少しずつ学んでいくことができます。また、けんかをして気まずい思いをすると、友達と仲良くした方が楽しいということがわかります。友達との様々なやり取りを通して自分の気持ちの伝え方やよりより対人関係を築いていくにはどうすればよいかを子ども自身が気づいていくことができます。

ここでエコチルママ、エコチルパパの皆さんが気になるのは「子どものけんかに親はどう関わればよいのか」ということではないでしょうか。例えば、怪我をしそうになったり、どちらかが一方的に攻撃しているときは大人が介入するべきですが、基本的には見守る姿勢が大切です。しかし、見守るだけではなかなか解決しない時もありますね。では、そのようなときはどうしたらよいのでしょうか? まずは、お子さんの話したいこと、お子さんの本当の気持ちを聞いてあげましょう。このときお子さんの気持ちを頭ごなしに否定したり、けんか相手を強く非難したりしてしまうと、今後本音を言いにくくなってしまうので、あくまでも公平な立場で聞くことが大切です。お母さんやお父さんに自分の気持ちを理解してもらうことで、子どもはだんだんと落ち着きを取り戻していくことができます。 落ち着きを取り戻したら一緒に状況を整理してあげましょう。また、落ち着いてくると相手の気持ちを考える余裕も出てきますので、相手はどんな気持ちだったか考えるように促してみましょう。相手の気持ちをあれこれ考えることで共感性が育まれ、思いやりのある子に育ちます。 状況が整理できたら、「じゃあどうすればいいかな?」「○○ちゃん/○○くんはどうしたい?」と問いかけて、自分で考えさせることが大切です。そうすることで、自分で問題を解決していく力が身についていきます。

子どもがけんかをすると、相手の子に対して腹が立ったり、時には、うじうじと悩んでいる我が子に対して苛立ったりしてしまうこともあるかもしれません。また、そのような状況で、けんかは子どもの成長のチャンスだなんて、なかなか考えられないかもしれません。それでも親の関わりによって、子どもの心の豊かさというものはずいぶん変わってきます。けんかが起きた時、子どもの成長につながるような関わりができるといいですね(*^▽^*)

 

エコチル調査鳥取ユニットセンター臨床心理士 堀内咲希

【参考図書】林洋一監修(2010)『史上最強図解 よくわかる発達心理学』 ナツメ社

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