
夏が来れば思い出す…
10年程前、今の家に引っ越して間もないある夏の日でした。
朝の家事を済ませてひと息ついた頃に『ピンポーン』とチャイムがなりました。
モニターを確認してみると見知らぬおばあさんが立っています。
とりあえず玄関に出てみると
「花を買ってごしならんか(花を買ってくれませんか)」
と、花売りのおばあさんでした。
腰が曲がっている様子のおばあさん。
傍らに大きな竹籠が置いてありました。
ひとつずつ新聞紙で大事そうに巻かれた4、5鉢の色鮮やかな
夏の花がのぞいています。
よくよく聞いてみると、お得意様の隣の家を訪ねてやって来たけど
留守だったので帰る前にうちに寄ってみたそうです。
大根島から来ていて、JRに乗りこの近くの駅から歩いてここまで来られたとのこと。
(ん?!うちの最寄りの駅は歩いても20~30分かかるのでは?!)
暑い最中、この竹籠を背負ってここまで来られたことにビックリし
ひと鉢買ってしまいました。
おばあさんは
「かるーなりましたわ(軽くなりました)」
と、また竹籠を背負って、ジリジリする陽射しの中を去っていきました。
おばあさんが来たのはその一度きりでした。
あれから10年近く経ちますが、今年も元気に鮮やかな花を咲かせてくれています。
スタッフN.K