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今、注目されている非認知能力とは??

今、注目されている非認知能力とは??

『非認知能力』という言葉を聞いたことがあるでしょうか。非認知能力とは、「コミュニケーション力」「思いやり・共感性」「忍耐力」「自信・自尊感情」「意欲」などの心や感情に関する能力で、近年教育学や経済学の分野で注目を集めています。これまでは、読み書きや算数などのIQとして数値化できる能力(認知能力)が頭の良さの指標として重視されていましたが、近年、様々な研究によって非認知能力が学歴や年収、社会的行動に肯定的な結果をもたらすということがわかってきました。

「非認知能力」を世界で初めて提唱したのは、ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンです。彼はアメリカのミシガン州にあるペリー幼稚園で実施されていた就学前プログラム(貧困層を対象とした教育プロジェクト)の研究を行い、子ども達が40歳になるまで追跡し、プログラムを受けたグループはそうでないグループよりも年収や学歴が高く、犯罪率が低いことを明らかにしました。この研究について、就学前に教育を施したことによってIQが高くなったからではないのかという指摘がありましたが、そうではありませんでした。というのも、就学前にプログラムを受けていたグループは介入直後にはIQが高くなったものの、介入後4年にはその効果が薄れていたためです。また、このプログラムは非認知的特質を育てることに重点を置いて、子どもの自発性を大切にする活動を中心としていました。そのため、ヘックマンは非認知能力を高めたことに要因があると考えたのです。

では、非認知能力を高めるためにはどうしたらよいのでしょうか。非認知能力の獲得・向上には幼少期の環境が重要だと言われています。ここでは、お子さんとの関わりのポイントを2つ紹介します。

Point1.安心できる環境を与える、無条件の愛を与える
子どもは安心できる環境の中で様々な探索活動を行うことができます。また、「自分は愛されている」「大切にされている」と感じることで、自己肯定感が生まれ、失敗してもがんばってみようという前向きな力が身に付き、様々な非認知能力を獲得していきます。

非認知能力①

Point2.好奇心を尊重する、自由に遊ばせる
基本的には子どもがやりたがることをやらせてあげましょう。自発的な遊びを通して子どもは意欲や、やる気、探求心、粘り強さを身に着けていきます。

非認知能力②

2017年に改定された幼稚園教育要領にも、非認知能力に関わる内容が組み込まれています。人口知能(AI)が発達する今、これまでよりもますます非認知能力が重視されてくるのではないでしょうか。読み書きや算数などの認知能力を高めることももちろん大切なことです。しかし、非認知能力を獲得してはじめて意欲や目標をもって学習に取り組むことができ、結果的に認知能力を伸ばすことができるのです。読み書きや数を早く覚えさせようと焦ることはありません。未来を見据えてまずは子どもの非認知能力を高めるような関りを意識してみてはどうでしょうか。

 臨床心理士/公認心理師 堀内咲希

参考文献
ジェームズ・J・ヘックマン(2015)「幼児教育の経済学」東洋経済新報社
中山芳一(2018)「学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす」東京書籍

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